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時代の流れのなかで変化する雇用のかたち

リストラを伝える記事 一方、企業側はリストラと、リストラされる当事者の思いをどう受け止めているのだろうか。大手アパレルメーカーの人事担当者として、数百人という規模のリストラに関わってきたというAさんは言う。「先の見えない不況が続くなかで、利益と人件費のアンマッチが起きているんです」。景気のいい時に大量採用した社員が、不況で生き残り競争の時代になった今では重荷になってしまった。必死で確保した利益も人件費に食われてしまうというのである。かつて日本の企業では、学歴・性別・年齢と誰が見てもわかるファクター(要素)で待遇が決められており、だからこそ若い社員も安い給料でがんばったし、定年までの生活設計を具体的に描くことができた。いわゆる年功序列・終身雇用である。しかしコンピュータを始め年々早まる技術革新のスピードや激化する国際競争に取り残されないようにするには、年々給与がアップする社員を定年まで抱える従来の雇用関係は重すぎる。正社員は専門的な技術や知識をもつ人だけに絞り、あとは必要に応じて訓練された人材を派遣や契約で雇うなりアルバイト・パートで補うほうがずっと安く、責任ももたなくていい。マスコミなどでは「実力主義、成果主義の時代がきた」などと、学歴や年齢に関係なく評価される仕組みとして肯定的に取り上げられがちだが、「必要な時だけ、しかもできるだけ安く、人を使いたい」という企業の思惑が絡んでいるのだ。もちろん、そうしなければ生き残れないという切実な事情もあるのだが。

人が人を採点する難しさ

 Aさんは会社の切実さを背負いながら、生活を背負った社員たちと面談を重ね、リストラを進めてきた。「リストラの基準となるのは、ただひとつ。会社にとって有益な人物かどうか、です」。では誰がどう判断するのか。それはその時々の時代の流れや経営方針によっても変わる、曖昧といえば曖昧なものだ。「人が人を採点するのは、根本的に無理があります。リストラされる人にとってはどんな理由でも納得はしきれないでしょう。それでも会社としては、一方的に言い渡すという形ではなく、本人が自分で次のステップを考えられるようにと考えてきました」。対象者だけを呼び出すのではなく、全社員と面談をするなかで対象者に対しては「戦力外通告」をする。退職金を割り増す。再就職に向けて必要なセミナーや勉強に対してお金を出す、などである。「そのうえで敢えて言わせていただくと、会社がいったん戦力外と判断した以上、よほどのことがない限り“敗者復活”はあり得ません。マイナス評価を覆すために膨大なエネルギーを使うより、再出発に全力を尽くすほうがいいのではないかと個人的には思います」。
 Aさんの会社は業界でもトップクラス。厳しいとはいえ大手ならではの余裕や矜持が、リストラする社員に誠意を示すという形に表れるのだろう。このような対応ならば、「納得はしきれないが、転職も考えようか」という気になるかもしれない。しかし実際にはなりふり構わず辞めさせようとする会社が圧倒的だ。

「反抗的」といきなり解雇通知が・・・

連合大阪の「なんでも相談センター」
連合大阪の「なんでも相談センター」

 連合大阪が2002年11月に立ち上げた「連合なんでも相談センター」には、連日リストラや職場でのいじめに関する相談が寄せられる。「今日は9月から給料が未払いだったうえに、いきなり解雇と言われたという50代の女性から電話がありました。ご本人が労働局で個人紛争の手続きをしたんですが、会社が話し合いを拒否しているということです」と相談員の福井工さん(62歳)が話す。ほかにも、食品メーカーに勤める30代の女性が「反抗的だ」という理由で解雇通知を送りつけられたというケースや、1ヶ月に330時間も働かされた挙句に残業代が1銭も支払われないという20代男性のケースなどがあり、スタートから2ヶ月の段階で200件近い相談を受けつけ、20社以上と団体交渉をしてきた。
「食品メーカーの女性の場合、上司に言われた仕事をやっていたところに別の上司が仕事を言いつけた。今の仕事が終わるまで待ってくださいと言っただけで、上司に反抗したというわけです。もともと上司との関係がうまくいってなかったのかもしれないが、ちょっとしたことでも平気で解雇する」。解雇通知は社長室長名で出されたため、室長は「私は会社の方針に従っているだけ」と逃げ、社長は「知らなかった」とかわす。この女性は育児休業後に復帰した際、同じ仕事だったにも関わらず給料が7万円もダウンしたという経緯もあった。会社側の社長室長すら「7万円は大きいなあ」と漏らしたほど理不尽なことがまかり通っていた。現在、解雇撤回と復帰した時点からのカット分の全額支払いを求めて交渉中だ。

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