第1部を上映した後に、「私自身を見てください」用のワークシートを使って、小グループで話し合いを行います。
ワークシートは、
・自分の中にある固定観念やステレオタイプに気づく
・職場や地域、家庭など身近な人間関係の中にある固定観念やステレオタイプに気づく、
・固定観念やステレオタイプで見られた時、人はどのような気持ちになるか
を理解することを目的に作っています。
研修の進め方は、次のことを参考にして下さい。
まず、研修前の冒頭に、研修テーマと日程を簡単に説明します。例えば、今日のテーマは、私たちの身近にある固定観念やステレオタイプです。ステレオタイプと固定観念は同義語と考えてもよいが、ある特定のグループに向けられた固定観念、例えば、「最近の若いものは」などがステレオタイプにあたります、と説明した上でビデオ上映に移ります。
第1部の終了後、ワークシート@を配布します。必ず上映後に配布してください。記入の項目は5項目あります。全部記入するのに15分程度の時間が必要です。もし、研修時間の都合でもう少し短くしたい場合は、記入項目を1、2、4、の3項目に減らすなど工夫をして下さい。記入後、小グループ(3〜5名)で記入した内容を互いに報告し話し合います。全項目を記入した場合、30分程度の話し合いが必要です。記入項目を減らした場合は、もう少し短縮できると思います。
小グループでの話し合いの終了後、いくつかのグループから話し合われた内容を紹介してもらいます。例えば、項目1の「総務部管理課の加藤さん」を男性と連想していた人がほとんどという結果になると思います。その理由を紹介してもらいますと、男性イメージを形成しているものが見えてきます。例えば、「総務・管理の仕事をしている」「職員に研修する」「上司に認められた」「社内でよく異動している」「医者の家庭に生まれ、後継ぎ」等々。男性中心社会の反映として私たちの固定観念がつくられていることがわかります。
次に、第2部を上映し、固定観念、ステレオタイプ、偏見について学習をしてもらいます。上映後、固定観念と偏見の関係を補足説明し、認識を共有するようにして下さい。その上で、ワークシートAを配布し、詩「人の値打ち」について考えます。ワークシートへの記入時間は約5分、記入後、先と同じように小グループで話し合います。話し合い時間は約10分、その結果をいくつかのグループから紹介してもらいます。
例えば、項目1に関しては、「作者は人間を服装、肩書き、学歴、生まれたところなどで判断しないでほしいと願っている」「服装、肩書き、学歴は自分の意思で変えることも可能だが、生まれたところは変えられない」など。
項目2に関しては、「『奥さん』という表現や『立派な家の娘さん』という表現が気になる」といった意見が出てくかもしれません。作者は「おばはん」と「奥さん」という呼称の違いの中にある「侮蔑感」を問題にしているのですが、「奥さん」という言葉それ自体の問題点についてジェンダーという観点からの提起です。また、作者は「家系」や「血筋」といった「生まれたところ」によって人の値打ちが決まることを問題にしているのですが、「立派な家」という表現の中には、家柄意識があるのではないかという提起です。
さらに、「人々は耳をすませて聞き」「人々はそわそわして帰りを急ぐ」という表現について、「そのような人もいるが、そうでない人もいる。すべての人が肩書きや学歴で講演内容を評価しているように捉えると固定観念になる」といった提起もあります。この詩をつかって、もう一度私たちの中にある価値観や固定観念を見直すことができます。
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