ふらっと 人権情報ネットワーク
  メールマガジン  サイトマップ  お問い合せ
情報サイト内検索

キーワードで検索できます。
10代の人権情報ネットワーク BeFLATはコチラ
 ふらっとについて  ふらっとNOW  ふらっと相談室  ふらっと教室  特集  ふらっとへの手紙  リンク集
CD
ビデオ
本
取り組み
ワークシート
参加型教材
ワークシートの紹介

ある男子学生の手記
 私は、差別意識や偏見を持っていると思います。そして、私に限らず人間誰しもが、偏見を持っているのではないかと思います。

 以前、母が私に結婚問題の話をしてくれましたが、その内容を紹介します。
 母は、結婚前の会社員時代に、同和地区出身の男性と交際をしていました。母は、その男性を本当に愛していました。しかし祖父、つまり母の父親は、二人の交際・結婚を認めませんでした。母は毎晩泣きながら悩み、一度はその人と駆け落ちすることまで考えました。そんな時、相手の男性から母に別れを告げてきました。その際男性は母にこういいました。「君のお父さんが二人の関係を認めて くれないのは仕方がないことだ。ぼくは、君と別れる。でも、覚えておいてほしい。ぼくにも君と同じ赤い血が流れていることを。」

 そして今、母はこういいます。「自分はあの時、差別をする父親を憎んだ。でも、自分が今、実際に親になってみると、子どもが同和地区出身者と交際する、あるいは結婚するといってきたら、どう しても反対するだろう」と。

 私は今、差別はよくないとの意見を持っています。でもそれは、無責任な立場での表面的な意見に過ぎないと思います。なぜなら、自分が父親となり、娘が同和地区出身の男性と結婚するといい張った時、それを受け入れて祝福できる自信がありません。きっと祖父のように、そして母のように、差別をしてしまうのではないだろうかと思うのです。そして、私が持っているこの偏見や差別意識を自分の子どもにも与え、子どもも偏見や差別意識を受け継ぐのではないだろうかと思うのです。

 「ぼくにも赤い血がながれている」、この言葉は、永久にぼくの胸に焼きついているでしょう。また、私は母を尊敬していますが、私が偏見を持つようになったのは、母からの偏見を受け継いだから に他なりません。そのことを思うと複雑ですし、差別を是認するような考えではいけないとも思うのですが、自分の問題として考えた場合、どうしても自分が持つ差別意識や偏見を克服することができ ません。そして、自分としてこの問題を克服できないばかりか、将来自分の子どもにも偏見や差別意識を無意識のうちに伝えていってしまうのだろうと思うのです。
ダウンロード Wordファイルをダウンロードする
このワークシートはご自由にダウンロードして教材としてお使いください。

研修における活用方法
1.参加者と以下の項目について討議する
母親は、なぜ自分の子どもにこのような話をしたのか?
母親は、なぜ結婚前と今とでは考えが変わったのか?
男子学生は、母の体験談や自分の娘の結婚を想定した話に関して意見を述べているが、自分自身の結婚について、どのように考えているのか?
男子学生は、なぜ自分の娘の結婚に関して差別する側になると思うのか?
男子学生やその母親の意見・考えについてどう思うか?
男子学生やその母親を説得するにはどうすればよいか?
2.解説のポイント
日本国憲法(第24条)では、「婚姻は両性の合意にのみ基づいて成立し、・・・」とあり、結婚の自由が保障されている。つまり結婚は、当事者がお互いの愛情と信頼に基づ いて合意・決定する当事者間の問題である。
結婚差別の要因
  • 現存する同和地区に対する偏見や差別意識
  • 「家意識(釣り合い)」「世間体」重視の考え方
  • 血統(血筋)に関する偏見や差別意識
  • 不合理な風習を是認する社会体質
  • 差別を克服するのではなく、差別に屈服する考え方(差別はいけないが、自分や子どもを不幸にしたくない)
  • 悪質な身元調査
結婚差別の解消にむけて
  • 同和問題に関する正しい学習により、いわれなき不合理な差別であることを理解し、自分に内在する偏見や差別に気づき、それを払拭する
  • 世間体に惑わされない自己の確立を図る
    (「世間」を形成するのは自分でもあることに気づく)
    (慣習や風習を科学的に検証する)
    (差別を許さない勇気ある行動をとる)
  • 差別のない社会づくりにむけた行動をすることこそが、自分や子どもの幸せに結びつくことを理解する
    (差別される側に立ちたくないとの考えの克服)
    (差別の傍観は、差別の側に立っていることの理解)
    (不幸の原因は「生まれ」を理由に差別する社会にある)

[ふらっと]は、ニューメディア人権機構による最新の人権情報をお届けするホームページです。
(C)ニューメディア人権機構 info@jinken.ne.jp