「郷に入っては郷に従え」の時代じゃない
スタートから2年。「真の日中友好とは?」という問いに、叢さんと黒瀬さんは「我々が日中間の架け橋的存在と美化されるのは好まない。それよりも中国人がかかえる問題に正面から取り組みながら、もっとビジネスの幅を広げて利益もあげていきたい」と応えた。お互いに価値を認めあい、打算的に考えるほうがかえって上手くいくのではないかという発想だ。
「中国人問題について差別とかマイノリティー云々で片付けるのではなく、彼らを『いいお客さん』として捉えればいいんだと思うんです。彼らがあげる声に耳を傾け、中国が急成長している現実を受け止めて、頭を切り替えてほしい。彼らが日本人の敬う対象になれば必然的に、状況は改善されていくのではないでしょうか」と。
年々中国の国力が上がり、観光客がどんどんやってきていて、ホテルやショッピング街でも中国語の表示が増えているという現実。同紙が存続できているのも、中国人にお客さんになってほしい店が増えて広告主になってくれるから。「今や中国人は日本にお金を落としてくれるお客さん。もう『郷に入っては郷に従え』の時代じゃない」と語る2人。
「中国人って私たちと同じような顔をして同じ漢字を使うことで、それが逆にネックになっている。こちらのことを理解してもらえると期待してしまうんです。私たち夫婦だって、中国語で話し合えてもお互いに理解できないことが多々あるんですから。だから、一般的にはまったく異文化の中で育った白人よりまだ遠い存在くらいに考えないといけないと思います」
文化や習慣の違いから起きる多くの問題に取り組んできたからこそ、見えてくるものがあるようだ。黒瀬さんはこう結んだ。
「お互いが感じる違和感を無理に解消しなくても、お互いが生きやすくなるような創意工夫をしながら、尊重しあえていければいいのではないでしょうか。我々の新聞も、今後もより客観性をもたせ、中国の媒体への発信を増やしていきたいと考えています」
関西華文時報
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