「狭山事件」をご存じだろうか。１９６３年５月１日、埼玉県狭山市の高校１年生、中田善枝さん＝当時（１６）＝が行方不明になり自宅に脅迫状が届いた。身代金受け取りのため現れた人物を警察が取り逃がし、４日に中田さんが遺体で見つかった。県警は現場近くの被差別部落に住む石川一雄さんを逮捕。「自白」を根拠に７７年に最高裁で無期懲役が確定した。部落解放同盟や多くの知識人が被差別部落出身者を狙った捜査だったと冤罪（えんざい）を主張している。９４年に仮釈放された石川さんは今８４歳。事件から６０年たっても「見えない手錠をはめられているようなものです」と石川さんは言う。

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北海道新聞