【New York Times】死者の声を運ぶ小舟
2020/08/13
理屈から自由になり、矛盾を受け止める必要に迫られた時、人は自然と文学に心を寄せるようになる
By 小川洋子
広島の原爆の日は8月6日。長崎は8月9日。そして終戦の日が8月15日。日本にとって8月は、死者を思う季節である。
本当なら今年、75年めの原爆の日を、私たちは東京オリンピックの期間中に迎えるはずだった。しかし、新型コロナウイルスの蔓延によりオリンピックは延期され、思いがけない静けさの中で人々は、死者のために黙祷を捧げることになった。
続きを読む
↓