【東京新聞】<あなたは悪くない 性暴力に苦しむ人へ>(上)勇気の声 一人じゃないよ
2020/02/19
風呂場や洗面台で、顔を下に向き続けていると気分が悪くなるのが不思議だった。「秘密だよ」という言葉を聞くと、なぜか喉が詰まったように苦しくなった。原因が三十年以上前のトラウマ(心的外傷)だったなんて-。関東地方在住の女性(37)が、それに気付いたのは、父親の同僚から性暴力を受けた記憶がよみがえった二〇一八年秋のことだ。
真っ赤なジャンパーに青いズボン。おかっぱ頭の少女がイチゴ畑を背にあどけない笑顔を向けた一枚の写真。父親とその同僚六人と出掛けた旅行の一コマだ。女性は当時三歳。その晩、酒に酔った父親は同僚に娘を風呂に入れてくれるよう頼んだ。手を挙げたのは四十歳前後の男。「嫌だな」。覚えているのは、そう思いながら服を脱がされるシーンまでだ。
続きを読む
↓
東京新聞