・・・そもそも「障害者の生と性の研究会」ができたきっかけは何だったのでしょう?
話は'92年に遡るんですけど、兵庫県西宮市にある障害者団体「メインストリーム協会」の機関誌に、重度の障害がある男性が介助者といっしょにソープランドへ行った体験記が載ったんですね。「生まれて初めての体験だった。応対をしてくれた人がとても親切で、看護婦さん以上の能力だった」というような内容でした。これを朝日新聞が取り上げて、大きな反響を呼んだんです。僕も「おお、面白いなあ」と思い、さっそく協会に連絡をとって機関誌を送ってもらったりしていたんですよ。
ところが、新聞記事の反響があまりに大きくて、協会は「第二弾」をやらなきゃいけない状況になったんです。そこで女性問題をやっている大学教授や北欧の福祉先進国の研究をしているジャーナリストや人権問題をやっている研究者たち4〜5人を集めてシンポジウムを開くという知らせがきました。
それで僕の仲間である新聞記者と障害がある女性の二人が聴きに行くことになったんです。実は僕、パネリストの顔ぶれを知って「あんまり面白くないんじゃないかなあ」と二人に言ったんですよ。そうしたら案の定、帰ってきた二人が「全然、面白くなかった」って(笑)。