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──パオッコの会員さんは約500人もいらっしゃるそうですね?

太田さん 現在の会員は月1回のメールマガジン「月刊パオッコ通信」の読者(無料)約450人で、郵送の人を含めると500人以上になります。以前は年会費制でしたが、現在は会報を縮小して登録無料にし、情報をHPに集約しています。HPは遠距離介護予備軍から入門者へ向けての情報発信であり、遠距離介護で行き詰まったり、迷ったりした方には他者の介護のやり方が学べる場になっていると思います。
 遠距離介護が成り立つかどうかは、ケアマネージャーとのつきあい方が重要なポイントになるんですね。だから、投稿ページ[ケアマネージャーとのつき合い方]も人気です。ケアマネージャーは介護サービスを組み立ててくれるだけでなく、利用者の身近で疑問や悩みに答えてくれる存在であり、親の状態もっとも把握している人。でも、介護保険が始まってまだ歴史も浅く、ケアマネージャーの仕事の幅にはかなりの開きがあるのが現状で、人間関係に悩む人も多いんです。 実際に「ケアマネージャーに事前にアポ取りして実家に帰ると、当日、親の家まで来てくれて親の普段の様子を細かく聞けた」などの実例が投稿されます。これって他では得ることのできない大きな情報。そうした上手な交流法の情報を入れてくださる、こうした声はパオッコならではだと思います。

──HPで情報交換する方も多いんですか?

 ええ、遠距離介護を実践中の人たちには[掲示板おしゃべり広場]が好評のようです。遠距離介護の問題を本音で語り合う場であり、情報交換する場でもあるんです。「私一人じゃないって励まされてます」「みなさんのメッセージがありがたい」「遠距離介護って、傍らは何もしないでと見られがちだけど、いつも心では考えて悩んで苦しんでる」などの本音も。
 遠距離介護を実践している人は、いつかは同居しなきゃという意識があって、こんなことをやってるのは自分だけといった孤独感があるのじゃないかなと思う。そういう会員さんが北海道から九州まで全国に散らばってて、パオッコのHPを支えにやってくれてるのかなと思います。

 私たちが発信しているのは介護保険や年金などの一般的な情報ではなく、「こんな人もいてこんな風に親をサポートされてますよ」「こういうことを試したら上手くいきましたよ」という具体的な報告。「だれかの経験でしか引き出せない生活の知恵」なんです。
 介護のカタチは本当にさまざまで、百組の親子がいれば、その介護法も百通り。介護に「正解」なんてありません。私自身、そうした実例を長年、取材してきていて、また会員から寄せられるハウツーや心構えなども含めると、パオッコ独自の情報は膨大な量となる。パオッコのHPには、そうした今すぐ活用できる情報がびっしりと詰め込まれてる。それらを読み込んでいけば、あるいは良いとこ取りしていけば、「わが家」のケースに当てはまる「やり方」が必然的に見えてくるんじゃないでしょうか。
 NPO法人ではあっても資金難で、スタッフは全員ボランティアというのが現状ですが、その中でいかにネットを駆使できるかがこれからの課題。ネットの向こうには日本国内ばかりか海外まで、思いがけない人たちが広範囲で見てくれてるのは事実。その一人ひとりを、「だれかの経験は、きっとだれかの役に立つ」というパオッコの理念が支えている思うと嬉しいです。

(2010年2月インタビュー 取材・原稿 上村悦子)

太田差惠子 おおた・さえこ
1960年京都市生まれ。介護・暮らしジャーナリスト。日本ファイナンシャル・プランナーズ協会会員。高齢社会においての「暮らし」と「高齢者支援」の視点雑誌・新聞などで執筆、講演活動を行う。厚生労働省「安心と希望の介護ビジョン会議」メンバー。著書に『老親介護とお金 ビジネスマンの介護心得』(アスキー新書)、『遠距離介護』(岩波ブックレット)など。

『故郷の親が老いたとき―46の遠距離介護ストーリー』故郷の親が老いたとき

老親介護とお金老親介護とお金


NPO法人パオッコ(離れて暮らす親のケアを考える会)
現在、東京と大阪で年に2回「遠距離介護セミナー」開催。毎月第2土曜日には、ゲストを迎えて約2時間楽しく話し合う井戸端会議「パオッコサロン」を開いている。
東京都文京区本郷3-37-8 本郷春木町ビル9Fインキュベーションハウス内

サイトの写真E-mail:info@paokko.org
URL:http://paokko.org/

 

 

 

 

※パオッコ=「パオ」は中国語で「包」。普段はそれぞれ独立している子と親が、困った時には子が親を、親が子を包む。また、パオッコが子世代を、仲間でパオッコを包む…といった思いが込められている。



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