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ふらっとへの手紙



ふらっとへの手紙from 西宮vol.3

2010/04/21


2回目の「か(介護)い(医療)ご (ご近所) 学会」、開きましてん。「つどい場 さくらちゃん」理事長 丸尾多重子さん 「介護者」も「医療者」も「ご近所」も、同じ目線で

つどい場さくらちゃんでは、当初から毎月のように介護講座を開いてきました。介護者が賢くならんことには、いい医者は選べないし、医療のここがおかしいと 思っても何ひとつ口出しできないと思ったから…。その延長で2007年、地域の人を巻き込み、介護者の声を盛り込んだ「おむつはずし学会in西宮」を関西 学院大学で開催しました。これは、88年に三好春樹さんが始められた「オムツ外し学会」をもじったもの(笑)。

その学会で多かったのが、介護職の人の「介護者の話を初めて聞いた」という感想です。ショックでした。介護職と介護者の間にいかに距離があるかを痛感 し、「それじゃあ介護される本人を支えられへんやろう」とつくづく思ったんです。それなら、介護者の思いや現実をもっと強烈に知ってもらうことが大事や と、また高齢者医療についても引っかかることが多くて、「かいご学会ってどうやろう」と閃いた。さくらちゃんプロデュースですから、「介護」する人・され る人、介護職の人も、「医療」関係者も、「ご近所」も、みんな同じ立場での「か・い・ご学会in西宮」をと、翌年の08年に第1回を開催。その2回目と なったのが、昨秋09年の「か(介護)い(医療)ご(ご近所)学会in西宮」です。

参加者は、介護職やケアマネージャーら約280人。かいご学会の実行委員会委員長であり、関西学院大学人間福祉学部の牧里毎治教授の計らいで会場を提供 していただき、認知症を専門とする医師・岸川雄介さん、松本一生さんをはじめ、介護界の第一人者三好春樹さん、鳥海房枝さん、安永道生さん、終末期医療の 長尾和宏さん、地元の医師土山雅人さん、訪問看護師の中島敦美さんと、今、全国で忙しさの1番を競われる8人の医療介護関係者がボランティアに近い形で快 く登壇してくださいました。

1人で抱え込まないで、みんなでつながっていけば大丈夫

川さんの「認知症の理解を深める」の基調講演に始まり、午後からは、認知症の発見段階「あれあれ…?そんなはずがない!」、中期「『わたし』が生きてい くのんよ!」、終末期「いつまでもいい顔でいたいんよ!」と3つの分科会に分かれ、介護者の深い体験談を中心に、医師や地域の介護職らと共に存分に語り 合ってもらいました。そして、最後は「たとえ認知症になっても、最期まで人らしく生き抜くためにはどうしたらいいか…」のテーマのもと、講師陣全員が揃っ ての「全体会」で終了しました。

要は、人のつながりなんです。認知症になれば本人も家族も不安だと、しかも、実は医療者も介護職も不安なんだと、みんなが最期の看取りに向き合えない社 会になってしまってるんです。でも、1人の介護で行き詰まった時、さくらちゃんに出会って救われたという方がいるように、「1人で介護をやったらあかん」 と気づかれた方が多い。みんなが仲間意識をもって看れば不安の気持ちも軽くなって元気になれる。ご近所やつどい場が一緒になって本人を支えていく医療が大 切なんだと。それには、つどい場作りを市民の活動だけにしないで、行政で空き家を提供するなど行政がらみの活動にしていきたいという話で締めくくられまし た。かいご学会の実行委員会をはじめ、西宮市の社会福祉協議会、ボランティアのみなさん、学生ボランティアさん、たくさんの方の協力で有意義な1日やった と思います。

私が頼りないから、みんな力を貸してくれはるんです。実際に、介護って暗い事件も多くて、重い、辛いテーマですけど、そんなん分かってます。でも、「一 人で抱え込まないで、みんなでつながっていけば大丈夫やん、笑えることもあるやん」ていうのが大事かなと思うんです。かいご学会も、準備から打ち上げま で、みんな面白がって、楽しんでやってくれはるところに値打ちがある。収益があるわけではないので、みなさんへのご褒美は楽しんでもらうことと、学会のた めに来てくれださった講師の方とつながって、深まってもらうことやと思ってます。みなさんに心から感謝です。(談)

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●「つどい場さくらちゃん」のHP
http://www.tsudoiba-sakurachan.com/




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