内申書や指導要録を見せてほしい
中学3年生の娘がいます。高校入試を控えて、受験校を決める懇談で、担任の先生から、「希望校を受けるには、内申点が少し足りない」と言われて、悲観的になっています。納得のいく受験をするために、内申書や指導要録を確認したいのですが、見せてもらえるのでしょうか。
プライバシーの権利には、「他の人が自分の個人情報を保有しているときに、その開示を求める権利」が含まれます。ただ、プライバシーの権利だけを根拠にして、自分に関する個人情報の開示を請求することは、裁判所では十分認められてはいませんが、2003年5月に公布された個人情報保護法が施行されれば、国の機関や一定規模以上の民間事業者に対し、自己情報の開示請求を求めることができます。
また、すでに個人情報保護条例を施行している地方公共団体では、自己情報について開示請求が認められています。ただし、条例では開示することが事務・事業の適正な執行に支障をきたすおそれがある場合に開示拒否が認められていますので、内申書・指導要録を開示すると教師との信頼関係が損なわれ、教師による評価が適切に行なえなくなるとして開示に消極的なところが少なくありません。
最近は、生徒や親から指導要録や内申書の開示請求が増えていることもあって、自治体によっては、所見欄を除いて成績や出欠記録などの開示を認めるところや、所見欄を含め全面的開示を認めるところも増えています。
【解説】プライバシーの権利
人は誰でも他の人には知られたくないと思うような、ごく私的な情報をもっている。そのような情報を「プライバシー」と呼ぶ。このようなプライバシーについて、みずからコントロールする権利が「プライバシーの権利」である。
プライバシーの権利は、もともとは「そっとしておいてもらう権利」として定義され、個人の私生活上の秘密を公表されないという権利と考えられていた。
しかしその後、情報社会の進展に伴い、「プライバシーに関するコントロール権」と定義されるようになった。つまり現在、プライバシーの権利といわれるのは、「他の人に知られたくないと思うのが当然だと思われるようなプライバシーについて、本人の同意なく、他の人が勝手に情報を収集したり取得したり、情報を保有して利用したり、第三者に開示したり提供されない」ということを意味する。
また、プライバシーの権利は、他の人がその人に関するプライバシーを保有している場合(カルテ、内申書など)に、その人に対して開示を請求し(自己情報開示請求権)、それが誤っている場合には訂正を請求する権利(自己情報訂正請求権)を含むと考えられている。