住基ネットはプライバシーの侵害では?
すべての住民に番号が付けられることになったと聞きますが、これはプライバシーの権利の侵害ではないのですか。
日本で暮らす国民には住民基本台帳法によって住民基本台帳への登録が義務付けられていて、転出・転入などの際には届け出をしなければなりません。この住民基本台帳には、その住民に関するさまざまな個人情報が記載されています。ところが1999年、この法律が改正され、すべての住民には住民票コードが振られることになりました。このコードを利用すれば、住所・氏名・生年月日・性別といった本人確認情報については他の市町村でもオンラインで利用できるようになり、住民の利便性が向上するというのが国の言い分です。この住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)は2002年8月5日から運用が始まりました。
しかし、このようにすべての国民に識別番号を振るのは「国民総背番号制」であって、プライバシー侵害の危険性が高いとの批判の声があります。実際、この住民票コードを利用すれば、一人の住民の個人情報を集積し、その人に関するすべての個人情報のデータベースが構築されてしまいます。この法改正を契機に個人情報保護法制の不備が指摘され、2003年5月に個人情報保護法や行政機関個人情報保護法が成立、公布されました。しかし、個人情報保護法制の整備が図られても、利便性よりも危険性の方が高いのではないかという声も少なくありません。