「働きながら子育ては無理」と言う周囲の声に自信喪失
結婚2年目の29歳、今は妊娠6カ月です。独身の時から勤めている職場は待遇に不満はなく、産休・育休もあるので働き続けるつもりでいました。ところが最近、気持ちが揺れています。夫は「君の好きにしたらいいよ」と言うのですが、周囲の友人や親たちは「働きながら子育てするなんて無理。あなたも大変だし、子どもだってかわいそう」の大合唱。実際、今の職場ではまだ育児休業を取った人はいません。「1年も休んで、元の仕事でやっていけるのか」「小さいころから保育所に預けて子どもの将来は大丈夫なのか」と考え始めると、どんどん自信がなくなっていく気がします。やはり仕事をやめて子育てに専念したほうが、あとで後悔しなくてすむのでしょうか。
初めての子どもの誕生は、待ち遠しい半面、何かと心配や不安もあるものです。仕事を続けながらの準備も大変でしょう。いろいろと自分なりに計画していても、いざとなれば迷ったり心が揺れたりするのは当然です。
子どもの数が減り、身近で子育てを見たり、かかわったりという経験のないまま親になるのが普通になった今、周囲の声がことさら気になるのも無理ありません。
けれども「子どもにとって何が大切なのか」を中心に考えてみると、決して親が常にいっしょにいることがベストというわけではありません。社会性を身につけていく幼児期に、母親が専業で子育てをすることによって、子どもが他の子どもたちと切磋琢磨(せっさたくま)し合いながらいっしょに育つチャンスが失われ、学齢期になってかえって苦労するという見方もできます。
「子どもが3歳になるまでは母親の手で育てるべき」といわれたりしますが、それは本来「3歳までが心の基礎や親とのきずなができる時期である」ということで、「母親が、家でつきっきりで育てるべき」という意味ではありません。それでは、かえって過保護や母子密着につながり、育児の責任を一人で背負い込んで、結局自分や子どもを追い込んでしまうことにもなりかねません。
あなたの場合、夫は育児にどれくらいかかわるつもりでしょうか。「働きながら子育てしたい」という気持ちをしっかり伝え、夫婦で育児をする環境を具体的に整えてみてはいかがでしょう。身近に働きながら子育てをした経験のある人がいなければ、いろいろな本や情報誌も出ているので参考にしてみてください。女性センターのようなところに相談してみるのもいいかもしれません。今は「案ずるより産むが易し」で、最初の思いを大切に計画を進めてみてはどうでしょう。子どもが生まれ、仕事に復帰してから、必要ならばその時にもう一度考えても遅くはありません。