暴力をふるう夫と別れたいが、子どもがかわいそう?
何かといえば暴力をふるう夫と別れたいと考えています。けれども子どもにとっては父親であり、片親になるのがかわいそうで決意できません。
母親がDV被害者であるなら、子どももまた「被害者」であり、「人権侵害」に遭っているのです。父親から母親への暴力は子どもの前でも行なわれます。大声や悲鳴、物が投げられ壊れる音を聞き続け、母親が殴られ、けがを負ったりする姿を見続けることは、子どもにとって大変な苦痛です。長い間このような状態に置かれると、そのストレスがさまざまな心身の症状や問題行動となって表れることもあります。幼いお子さんなら、「排便を知らせない」「発語が少ない、あるいは遅い」「落ち着きがなく、ときどき奇声をあげる」などといったことはありませんか。思春期に不登校や非行という形で表れることもあります。また、父親が直接子どもに暴力をふるうようになる場合もあります。
こんな環境で父親といっしょに暮らす生活と、父親はいなくても母子ともに暴力の恐怖や不安から解放された生活と、子どもにとってどちらが望ましいでしょう。「どんな父親でも子どもにとっては必要」という社会通念を考え直してみませんか。DVは子どもの問題でもあるのです。これまでの生活を大きく変えることになるのですから、迷いや不安を感じるのももっともです。まずは専門機関をはじめ、いろいろな機関に相談してみてください。母子で安心して暮らせるよう、協力してくれるでしょう。