9 私は髪を茶色に染めていますが、上司から黒く染め直すよう命令されました。業務命令と言われたら、従うしかないのでしょうか。
9 私は髪を茶色に染めていますが、上司から黒く染め直すよう命令されました。業務命令と言われたら、従うしかないのでしょうか。
Q 私は、髪の毛を目立つ茶髪に染めました。勤務している会社の上司からは、何度も黒く染めるように命令されましたが、私は髪の色は個人の自由だと主張し拒否し続けました。会社は、ついに「うちの会社では茶髪は許さない。染め直さないとクビだ。」と言い出しました。
A 人の髪の色、髪型、容姿、服装は、人格や自由に関する重要事項です。原則的に、他人が干渉することは許されません。しかし、会社では、業務を円滑に推進するために職場秩序を維持することが必要となり、一般的には業務命令という形で、従業員に指導・教育を行うことがあります。また、会社の就業規則では懲戒規定として「素行不良または業務命令に従わず、職場の秩序を乱したとき」と定め、この条文に触れるときは懲戒処分を行うことがあります。
事例と同様に、髪の色を黄色に染めた従業員が、会社から髪の色を元に戻すよう指導したことに従わなかったために業務命令違反で解雇された事件がありました。
裁判では、「一般に企業は企業内の秩序維持ため、労働者に必要な規則、指示、命令等を行うことは許されるが、これは労働者が企業の一般的支配に服することを意味するものではなく、おのずとその権限の本質に伴う限界がある。特に、労働者の髪の色、形、容姿、服装などといった人の人格や自由に関する事柄については、企業の制限行為は無制限に許されるものではない。企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲にとどまるべきである。」という理由から、本件解雇を無効と判断しました。
しかし、この判例を拡大解釈して「髪の色や髪型を理由に解雇することは許されない。」と一般化するのは、妥当ではありません。個々に事情は異なりますが、その際に考慮される事情は、①それが、労働者の人格の本質であるかどうか。②制限される事項の対外的・対内的影響の大小。③使用者による制限の態様・程度。④労働者、使用者の解雇に至るまでの対応状況。が挙げられます。
会社が労働者の人格や自由に制限を加える場合、制限するその業務上の必要性や合理性・相当性をよく吟味することが必要です。企業には、労働者の人格や自由を尊重する姿勢が求められています。
執筆協力団体:日本労働組合総連合会大阪府連合会
http://www.osaka-rouren.gr.jp/
連合大阪なんでも相談センター「労働相談Q&A」
http://www.rengo-osaka.gr.jp/soudan/faq.html
私は、髪の毛を目立つ茶髪に染めました。勤務している会社の上司からは、何度も黒く染めるように命令されましたが、私は髪の色は個人の自由だと主張し拒否し続けました。会社は、ついに「うちの会社では茶髪は許さない。染め直さないとクビだ。」と言い出しました。
人の髪の色、髪型、容姿、服装は、人格や自由に関する重要事項です。原則的に、他人が干渉することは許されません。しかし、会社では、業務を円滑に推進するために職場秩序を維持することが必要となり、一般的には業務命令という形で、従業員に指導・教育を行うことがあります。また、会社の就業規則では懲戒規定として「素行不良または業務命令に従わず、職場の秩序を乱したとき」と定め、この条文に触れるときは懲戒処分を行うことがあります。
事例と同様に、髪の色を黄色に染めた従業員が、会社から髪の色を元に戻すよう指導したことに従わなかったために業務命令違反で解雇された事件がありました。
裁判では、「一般に企業は企業内の秩序維持ため、労働者に必要な規則、指示、命令等を行うことは許されるが、これは労働者が企業の一般的支配に服することを意味するものではなく、おのずとその権限の本質に伴う限界がある。特に、労働者の髪の色、形、容姿、服装などといった人の人格や自由に関する事柄については、企業の制限行為は無制限に許されるものではない。企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲にとどまるべきである。」という理由から、本件解雇を無効と判断しました。
しかし、この判例を拡大解釈して「髪の色や髪型を理由に解雇することは許されない。」と一般化するのは、妥当ではありません。個々に事情は異なりますが、その際に考慮される事情は、(1)それが、労働者の人格の本質であるかどうか。(2)制限される事項の対外的・対内的影響の大小。(3)使用者による制限の態様・程度。(4)労働者、使用者の解雇に至るまでの対応状況。が挙げられます。
会社が労働者の人格や自由に制限を加える場合、制限するその業務上の必要性や合理性・相当性をよく吟味することが必要です。企業には、労働者の人格や自由を尊重する姿勢が求められています。
執筆協力団体:連合大阪なんでも相談センター「労働相談Q&A」