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入所者の年金を自分たちで使いたいと主張する家族

知的障害者施設の職員です。長期入所されているAさんの年金を施設が管理してきたのですが、かなりの額に達していることを知った家族が自分たちのために使いたいと主張してきました。同意しないのなら、本人を施設から退所させるとまで言い出し、困っています。

年金は本来、本人のために使われるべきものです。施設の生活で、必要に応じて衣類などの購入や小遣い、旅行などの費用等に活用されます。施設に入所中の人のなかには、グループホームなどを利用した地域での生活に向けた準備のために年金や作業工賃を貯蓄している人たちも少なくありません。たとえ家族でも、本人のためではなく自分たちのために勝手に使うのは財産権の侵害です。家族には、年金の趣旨を説明し、その活用が本人の施設生活や目標としている安定した地域生活に必要なものであることを理解してもらう必要があります。本人の不利益となるような要求に対しては毅然とした態度で説得を試みるべきでしょう。
まれに年金管理の問題にからめて、本人を施設から退所させたいとの希望が出されることがあります。その背景には本人の気持ち、施設入所した目的や事情、今後の本人や家族の生活設計、施設退所に向けたプログラムの策定などが軽視されている場合が多々あります。本来、年金の管理と施設退所とは別次元のこととして検討すべきものです。こんな場合こそ、施設と福祉事務所が密接に連携することが重要です。