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ふらっと相談室(Q&A)



1.性同一性障害やトランスジェンダーという言葉は自分にあてはまる?

子どものころから、自分の性別に違和感がありました。最近「性同一性障害」という言葉を知り、自分もそうなのではないかという気がしてなりません。「性同一性障害」とはどういうものなのか教えてください。

男として生まれたのに男としての自分に違和感がある。女として生まれたのに女としての自分に違和感がある。そのために自我に混乱が起こったり、周囲との人間関係に不調和を生じたりするケースを、ひろく「性同一性障害(GID)」と呼んでいる――。
本来は医学的にもう少し厳密な定義がありますが、昨今の日本語圏では、おおむねこのような意味合いで使われている言葉です。英語圏での「トランスジェンダー 」に近い用語法です。
自分に合った性別での生活を目指して実行する人もいますし、身体的な違和感を解消すべくホルモンや性別適合手術などを希望する人もいます。現実的な選択として、例えば日常は男性として会社員をしながら休日だけ"女装"するようなケースも少なくないでしょう。
人によって様態はさまざまですが、肝心なのは、その人が元々の身体を基準に付与された性別での暮らしに馴染めないという点です。社会が男女のいずれかであることを要請する中で、男よりは女、あるいは女よりも男であるほうが、より自分らしい、本当の自分であると感じられるような場合は、いわゆるところの性同一性障害にあてはまると考えられます。
なお、自分らしいと思える自分が男女2つのみの区分で割り切れないと感じたり、性別の区分自体に馴染めないと思う人もいます。トランスジェンダーの中でも「Xジェンダー」と呼ばれたりします。
また、同じようにセクシュアルマイノリティ(性的少数者)であっても、恋愛や性的関心の対象が「異性」ではない同性愛などや、身体自体が男女の典型に該当しない性分化疾患(DSD)のようなケースは、性同一性障害とはまた異なるタイプの事象です。
本当は社会が身体を基準に人を男女に厳格に二分しようとし、しっかりそのどちらかであることを「普通」だとしなければ、「性同一性障害」もその他のセクシュアルマイノリティも問題とならないんですけどね。


※セクシュアルマイノリティ(性的少数者)
おおまかに言うと、性同一性障害・トランスジェンダーのほか、同性愛、性分化疾患(DSD)の3系統がある。
いずれも、社会の多数派とされる典型的な男女の基準から外れる少数派という点では同じセクシュアルマイノリティの括りになるが、それぞれの典型からの外れ具合がちがうため、抱える問題も異なった傾向を示すと言える。

※性分化疾患(DSD)
身体的に男女のいずれの典型にも該当しないケースの総称。「インターセックス〔IS〕」という呼び方もあった。
性同一性障害は、身体的には男女のどちらであるか明白である点が、これとは異なる。
両者の直面する諸問題には、セクシュアルマイノリティとして共通するものもありえる一方、それぞれに固有のものも少なくない。