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13.学校で性同一性障害生徒を受け入れる留意点は?

公立高校の教諭をしています。今年の新入生の中に自分は性同一性障害だと言う男子生徒がいて、対応にとまどっています。なんでも幼いころから女の子のすることが好きで、同級生の男子からは「オカマ」と呼ばれていじめられてきたそうです。高校入学を機に、これからは女性として生きていきたいと言っています。制服も女子用を希望しています。トイレや更衣室はどちらを使わせるかなどをはじめ、細かな問題も多いと思われるので、どう対処したものか、何かアドバイスはないでしょうか。

理想論としては、女子生徒として扱うようにしたいところではあります。
読んだ限りでは、この生徒の場合、男子として生活するのは苦痛以外の何者でもないと想像されます。入学時点から女子生徒として同級生にも紹介できれば、本人にとっても周囲にとっても幸福でしょう。
学校の内部的な書類などは、戸籍上の性別に依らざるをえないかもしれませんが、表に出る部分について配慮するのは可能です。名前も必要に応じて通称使用を認めれば、出席簿などで無用の摩擦が起きるのを避けられます。
トイレや更衣室に関しては多目的用トイレや空き部屋の活用が考えられますし、プールの授業はレポート提出で代替する措置も前例があるようです。
要は、社会にあまねく存在する人間を男女のどちらかに分けて、その区分を重用する体制が学校にも数多く入り込んでいるため、こうした生徒の存在とそれらが衝突する要素が出てくるわけです。ですから、それらにについて、先回りして善処するわけです。
もっとも、これらは学校側のみの判断ですべきものではなく、本人とよく話し合うことが当然ながら肝要です。
本人の希望する具体的な内容をよく聴き、本人の性格等に合わせた教育的配慮を勘案、逆に学校側として可能な範囲の限界があればそれを伝え、折り合うポイントを合意していく作業が望まれます。本人にとっても不確定要素などが読み切れていない部分は多いでしょうから、より丁寧な意思疎通に基づいた試行錯誤が必要です。また、例えば元の性別を他の生徒に秘匿するのか、それともセクシュアルマイノリティとして理解と受容を求めていくのか、そのあたりの方針選択によっても、取るべき措置は異なってくるでしょう。後者の場合は、この機会に学校ぐるみで性同一性障害などについて学習する機会を持てば、教育としても有意義かもしれません。
ともあれ、まず性別で分けて考える体制になっている社会のもとで、可能な限り一人ひとりの生徒のありのままを尊重するために、どこをどう工夫するか……ということになります。

補足ですが、性の多様性について研鑽して視点が広がった先生方にとっては「もしかしてあの子も性同一性障害なのでは!?」という事例も見えてくるかもしれません。しかし、自分から何も言ってこない生徒を無理に突っつくのはNGでしょう。
その生徒が何かあったときには相談しやすいように、授業の中でさり気なくセクシュアルマイノリティについての知識を話題にしておくとか、職員室の机上に関連のブックレットなどを生徒たちの目にふれるように置いておくなど、日頃からの雰囲気づくりが重要と言えます。
当然ながら、先生方が授業中にホモネタのジョークを飛ばすような環境では生徒たちの間での偏見も増幅されますし、セクシュアルマイノリティ生徒たちへの抑圧・イジメも発生しやすくなります。
教室に少なくとも、1人はセクシュアルマイノリティ生徒が存在するという認識でお願いします。