11.子どもや近所の人にどう説明すれば?
私は女性で、配偶者がMtFトランスジェンダーです。子どもは2人で今は小学生です(女の子と男の子)。家族4人で仲良く暮らしていますが、子どもたちは「父親」がよその家とは少し様子が違うことで、友達への説明などに多少の面倒を感じているようです。私も近所付き合いなどで「夫」のことを何と呼んだらいいのか迷うことがあります。子どもたちに性同一性障害のことなど一度しっかり説明するとしたら、いつごろがよいのでしょうか? また近所付き合いではどの程度のことを説明すればよいのでしょうか?
知り合いの女性で配偶者が在日韓国人の方から聞いた話ですが、ある日、子どもが帰ってきて驚いたように報告したのが「知ってる!? ◯◯ちゃんの家はお父さんも日本人なんだって!!」だったそうです。子どもにとっての基準は自分の家なんですね。
このケースでも、お子さんは「お父さん」のことそのものは自然に受け入れている様子なので、その感性を大切にしつつ、性同一性障害のことなど「お父さんの事情」を体系的に説明することは問題ないでしょう。子どもの成長段階に応じてわかりやすい言葉で伝えるなら、早すぎるということはないです。むしろ学校で友だちから訝(いぶか)しがられたりなどした際にキチンと対応できるように、早めに話をしておくべきかもしれません。
ただ、女の子社会に比べると男の子社会は、多少は性別をめぐる規範意識が強固とも言われていますので、そのあたり2人のお子さんについて、まったく同じようにはいかないかもしれません。また、いじめなどはないか、お子さんに対するアンテナの感度は上げておいたほうがよいでしょう。学校にも、何かあったときの対応の予備知識として、ひととおり話は通しておいたほうがよいと言われています。
ご近所というのも、個別の環境にもよるのですが、このケースのご様子だと、あまり意識せずにフランクに応対するのが良いように思えます。自治会などのコミュニティでも堂々としているほうが、よい反応を得られる可能性もあります。荒業ですが役員を引き受けて、地域社会を自分たちが住みやすい雰囲気に改造するというのも、発想としてはあってもいいですね。
もちろん、状況に応じてプライバシーを秘匿することもときには大切ですが、神経質になりすぎなくても、ごく自然な関係性が近隣と持てていればよいのではないでしょうか。
ともあれ、家族が信頼関係で結ばれ、共に過ごす時間の中で絆を紡いでおられるのなら、そのことに自信を持っているのがいちばんです。