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6.「同性愛は病気の一種だ」と言われましたが、本当?

男子高校生です。以前から女の子にまったく興味がもてませんでした。やがて特定の男の子に対して「もっと仲良くなりたい」「二人きりで会いたい」などと思うようになり、自分はもしかすると同性愛者なのかもしれないと考えるようになりました。けれども身近なところでそんな話ができる雰囲気はなく、誰にも打ち明けたり相談したりできず、一人で考え込んでいました。最近、親しい友人に彼女ができ、「おまえも早く彼女をつくれよ」と言われたので、思い切って「自分は男の子に引かれる」と打ち明けたところ、「同性愛は一種の病気だから治したほうがいいよ」と言われました。本当に同性愛は「病気」なのでしょうか。

勇気を出して信頼している友人に打ち明けたのに、思いがけない答えが返ってきて驚いたことでしょう。
結論からいえば、現在、日本では同性愛は病気としてみなされてはいません。しかし、これまでには世界中でさまざまな見解が出されてきました。簡単に説明しましょう。
1952年にアメリカ精神医学会が発行した「精神障害の分類と診断の手引」(DSM)(第1版)において、同性愛は精神障害とみなされ、社会病質人格障害の章で「性的逸脱」とされました。その後、旧東ドイツの医師ダーナーが、「母親が妊娠中にストレスを受けて男児に男性ホルモンが十分に分泌されないと、男児は男性としての脳が未発達のまま生まれ、男性同性愛者となる」という説を発表し、同性愛が病気であるというイメージが強まりました。
しかし、その後、運動の進展や医師の理解が深まるにつれて、1974年に発行されたDSMの第3版以降においては、同性愛は精神疾患として治療する必要はないという方針に転換しました。1993年には世界保健機関(WHO)が国際疾病分類(ICD)(第10版)で、同性愛を治療の対象からはずしました。
日本の医学界においてもDSMやICDは尊重されています。文部省(現文部科学省)が1994年に「生徒の問題行動に関する基礎資料」で、同性愛を性非行として分類していた記述を削除しました。
以上のように、現在は日本では同性愛は病気であるとみなされてはいません。治療の必要もありませんし、不安になることもないのです。偏見や中傷に傷ついたり、悩むことはあるかもしれません。けれども、同性愛も自分自身の個性として、自信をもって生きてください。

【参考文献】
『同性愛入門ゲイ編』伏見憲明編ポット出版
『同性愛がわかる本』伊藤悟/すこたん企画編著明石書店
『クィア・サイエンス同性愛をめぐる科学言説の変遷』サイモン・ルベイ著勁草書房