ふらっと 人権情報ネットワーク

ふらっと相談室(Q&A)



1.「セクシュアリティ」「セクシュアル・マイノリティ」とは?

最近、「セクシュアリティ」や「セクシュアル・マイノリティ」の言葉を聞くのですが、「セクシュアリティ」や「セクシュアル・マイノリティ」とは何ですか?

現在、「セクシュアリティsexuality」という言葉は、広く、人間の性の経験に関わるすべてのことがらを指しています。
19世紀に欧米で使われ始めたこの言葉は、最初「植物・動物の生態における有性生殖」という性の事実をあらわすだけの生物学上の用語でしたが、その後「性的能力を有すること、性的感情を持ちうること」という意味で、女性の病気に関する医学上の用語として使われるようになりました。さらに性科学・優生学や、精神分析・フェミニズムなどの発達にともなって、その意味内容を広げてきました。
セクシュアリティという語は、それぞれの時代における「性的なもの」という、しるしつきの問題概念(要注意概念)の範囲を表してきており、固定的・一義的な意味内容をもっているわけではありませんし、またイデオロギー的に無色透明なものでもありません。(S・ヒース「セクシュアリティ」勁草書房1988)
このような歴史的経緯を経て、性科学や性解放運動の領域において、「生物学的性sex」「社会的・文化的性gender」「性自認gender identity」「性指向sexual orientation」など、性的なあり方に関わること全般を指すようになっているわけです。
また日本語の「性」という語は、本来「生まれつき」「本質」という意味でしたが、明治時代の後期あたりからsexualityの訳語としての意味を与えられ、近世において「色事」「淫事(いんじ)」「交媾(こうこう)」などの言葉で呼ばれていたことがらが、「性」という語で括られて社会問題として扱われるようになりました。(小田亮「一語の辞典 性」三省堂1996)
「セクシュアル・マイノリティsexual minority」とは、現代の日本の性解放運動において、上に述べたセクシュアリティの領域(主に性自認・性指向)に関して、「同性愛者」「トランスジェンダーtransgender」など、社会的に少数派であると自認する人たちのことを指しています。