10.同性同士でセックスなんて
同性愛者の存在や人権は認められるべきだと思いますが、同性同士でセックスすることには抵抗感があります。
私たちの社会には、夫婦間で行なわれる生殖のためのセックスは尊いとされる一方、快楽のためのセックス(同性間でのセックスもそのひとつ)は卑しいとされる風潮が根強くあります。こうした風潮は、一夫一婦制が自然の原理であるというイデオロギーによって支えられているのです。
私たちが何を「快」と感じ、何を「不快」と感じるかは、文化の影響を深く受けています。ちょうど、幼いころから慣れ親しんだ食べ物が一番おいしく感じられるように、何(どんな記号)に欲情するかは、文化的な刷り込みの結果だと言えます。
私たちは、自分に理解できないものについては、悪として排除したり無視したりしてしまいがちですが、そのとき、責任の主体を対象(同性愛者)に求めるのではなく、自分がなぜそれを嫌悪するのかを考えてみる必要があるでしょう。特に、セックスのような大きな声で語ることがはばかられるような問題については、いっそうそうした態度が求められます。「同性愛」とは、つまりは性愛に関わる問題ですから、性行動という現象から目をそむけない態度こそが必要なのです。