5 民族名のことでいじめられたら?
民族名のことで友達からいじめられました。学校に相談しても取り合ってもらえません。どうしたらいいですか。
まず、どんな場合でもいじめは許されませんし、学校は責任をもって対処すべきです。
在日コリアンが民族名を名乗ることで、友達からいじめを受けるというケースは確かにあります。日本人の子にとっては聞き慣れない名前が「目立つ」こと、さらに植民地の時代から日本のマジョリティのなかで歴史的に形成、継承されてきた朝鮮語や朝鮮名をはじめとする民族文化に対する蔑視により、 からかわれたりいじめられたりするようです。
民族名に対する蔑視があまりに当然のこととして存在するため、名前をからかうことの深刻な意味に、しばしばマジョリティの側は気づきにくいようです。しかし、「名前のもじり」であっても、いじめられることで、 名前をからかわれるという経験は、からかわれる側にとっては、その場限りのものではなく、様々な場面において在日コリアンであることを否定的に扱われた経験と結びついていきます。結果として、そのような差別を回避するために日本名(通称名)を選択したり、在日コリアンとしてのルーツそのものを否定的に捉えてしまうことにつながっていくのです。
特に、日本の学校で在日コリアンの子どもが本名(民族名)を名乗るのは、教職員の理解なしには難しいものです。日本人の児童・生徒たちに在日コリアンの子どもの思いが理解されるよう、歴史を含めて話をしたり、個別に指導を行なうなど、細かい配慮が必要です。在日コリアンに対する否定的な観念在日コリアンに対する否定的な観念もったままでの学校側の姿勢や教職員の態度のもとでは、子ども同士の溝は埋まりません。
このような教育課題に取り組んでいる在日コリアンの保護者を中心とした市民団体や、在日外国人に対する相談援助機関、教育委員会をはじめとした公的な相談機関もありますので、これらと連携しながら学校側に働きかけていきましょう。同じような経験をした人のサポートを得られる場合もあります。
*執筆協力:NPO法人 多民族共生人権教育センター