1.エイズはなくなっているのでしょうか?
最近、エイズ関連のニュースを見聞きすることが少ないです。エイズはなくなっているのでしょうか?
いいえ、決してそうではありません。
エイズ(AIDS=後天性免疫不全症候群)関連の話題は、よほどのニュース性がないとマスコミは大きく取り上げていないようです。だからといって、エイズがなくなっているとは思わないでください。むしろ、感染は拡大しています。
日本ではここ数年、HIV感染者・エイズ患者を合わせ毎年約1,500人ずつ増加しており、1日に4人報告されている計算です。また、エイズを発病して病院を受診し、初めてHIVに感染していることがわかる人も多くなってきています。
動向数としては、異性間より男性同性間での性的接触による感染報告数が多いのですが、性的接触の相手が誰であっても感染する可能性はあります。「まさか自分が?!」や「私は大丈夫。」といった思い込みは禁物です。
*HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とは
HIVは、ウイルスの名前であり、私たちの体を病原体から守る働き(免疫システム)を攻撃するウイルスです。HIVが体の中に入り、そのまま体の中にあり続ける状態をHIVに感染すると言います。
HIVは、免疫システムの中でも司令塔の役割をするCD4細胞(CD4陽性Tリンパ球)に入りこみ増殖します。HIVが増殖すると、CD4細胞の数も減少し、免疫システムが十分に働かなくなり体の抵抗力が弱くなります。HIVは人から人へ直接しか感染しません。HIVに感染している場合、血液、母乳、精液、膣分泌液がHIVの感染力があります。
*エイズ(AIDS=後天性免疫不全症候群)とは
エイズは、HIVに感染して体の抵抗力が弱くなることによって起こる様々な特定の症状を総称した病気の名前です。
HIVに感染すると、一般的には5から10年の間は無症状の期間が続きます。しかし、何も治療しないままでいると、無症状の間にも体の中では免疫とHIVが戦い続け、体の免疫力が徐々に低下していきます。そして、免疫が働いていればかからないような弱い病原菌などに感染したり、症状が現れたりすることを「AIDSを発症した」と言います。また、HIVに感染した人が全てAIDSを発症するとは限りません。
現在では様々な薬が開発され、的確に治療を開始することで免疫力の低下を防ぎ、AIDS発症を遅らせることや防ぐことが可能となってきています。また、例えAIDSを発症したとしても、治療によってHIVに感染しているだけの状態に戻ることも可能です。今ではAIDSは死に至る病気ではなく、慢性疾患の一つとなり、薬を飲み続けることで寿命まで生きることができるようになってきました。
●API-Net エイズ予防情報ネット「日本の状況=エイズ動向委員会報告」
執筆協力:特定非営利活動法人HIVと人権・情報センター関西支部
ウェブサイト(全国事務局)