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Q10.「部落の人はこわい」とか「がらが悪い」などと聞きますが・・。

風評や偏見にとらわれると、正しい認識ができなくなってしまいます。

2005(平成17)年実施の「大阪府人権問題に関する府民意識調査」によると、60.7%の府民が「同和はこわい」というような話を聞いた経験があると答えています。

このような話が広く伝えられている現実が確かにあることは、この数値からも読み取ることができます。またその時の感想については、62.5%の府民が「そういう見方もあるのかと思った」と答えており「反発・疑問を感じた」のは12.3%に過ぎませんでした。

部落には、やさしい顔つきでいつも穏やかな人もいるでしょう。逆に怖そうな顔つきで言動も荒っぽい人もいるかもしれません。地味でシンプルな服装を好む人もいれば、華やかなファッション・スタイルを好む人、老若男女、性格・性質、職業の有無・・。部落であろうとなかろうと、ひとつのコミュニティのなかには、さまざまな人がいます。よって、「部落」=(イコール)「こわい」「がらが悪い」といった話が事実と反した風評であることは、少し冷静になって考えてみればすぐに理解できるはずのことなのです。

なのに、なぜこのようなマイナスイメージが広がっているのでしょうか? その背景には【「過度の一般化」(コラム)】と呼ばれる心理作用が働いていることが指摘できます。このような心理作用は、【偏見】を形成する要因のひとつとなっています。

たとえば、どこかでこわい思いをした体験をもつ人がいたとして、その体験から「こわい」というイメージを形成したとしましょう。しかし、その限られた体験だけで全体をイメージづけてしまうことは、その人自身の認識を大きく歪ませることになります。そして、このような認識が偏見を強めていくのです。

【「過度の一般化」(コラム)】
「エスニック・ジョーク」のからくり
わずかな経験や伝聞にすぎないことを、すべてそうであるかのようにとらえたり、
一般的なことであると考えてしまうこと。これが「過度の一般化」と呼ばれる心理作用です。
この心理作用が「ステレオタイプ」(多くの人に共有されている単純化された固定的な考え、
イメージ)と呼ばれる見方、とらえ方を生み出します。
ひとつ、こんな話を例にあげてみましょう・・。
船で火災発生! 緊急脱出を要する事態となった。
船長は、乗客を一刻も早く海へ飛び込ませるため、次のように呼びかけた。
イギリス人には「飛び込めば、あなたは紳士です」
アメリカ人には「飛び込めば、あなたはヒーローになれますよ!」
フランス人には「海に飛び込んではいけません」
ドイツ人には「こういう事態においては、海に飛び込むことが規則となっています」
日本人には「みんなもう飛び込みましたよ」
これは、「エスニック・ジョーク」と呼ばれるもので、各国、各民族の国民性、民族性に対するステレオタイプをジョークにしたものです。ここにも「過度の一般化」がベースにあることが、おわかりいただけるでしょうか? ジョークとして笑い飛ばすことはOKだとしても、実際にはもちろん、一人ひとりの人間がすべてこれにあてはまるわけではありません。これは事実ではなく、あくまでも「フィクション」なのです。

【偏見】
十分な証拠のない思い込みで、他人のことを悪く考えてしまうこと。ある集団に属しているとみなされる、または、その集団が持つマイナスの特性を持っているとみなされるだけで、その人に対して向けられる嫌悪や悪意ある態度・意識のこと。