取り組み「企業における人権研修の進め方」
2003/05/30
1.人権教育基本方針と目標
(1)何故企業が組識を作り、研修を行うか
企業の果たすべき役割として主に次の四点があげられています。
ア) | 顧客に対し、良質にして安全で安価な商品やサービスを提供する。 |
イ) | 利益を上げ、株主や契約者に対して配当として還元する。 |
ウ) | 従業員とその家族、関連する企業群の関係者について生活の安定を図る。 |
エ) | 国と地域、関連する企業群に対し、納税と雇用機会の提供をする。 |
これらは、経済的側面を基本としており、企業の大半はその成長過程で利益追求の論理を押しとおす傾向が強かったといえます。つまり、企業エゴともいえる自社のみ繁栄すれば可とする企業風土が存在しておりました。
しかしながら、1960年におけるあいつぐ公害問題や1975年に発覚した部落地名総鑑事件を契機として、人の命につながる『環境』と『人権』を無視する企業体質について社会から厳しく指弾されました。そこから、企業は社会から一構成員(企業市民)として社会とともに成長・発展していくことが求められ、そのためには社会的な問題にも積極的に取組まなければならないという新たな役割が認識されてきました。
今日、企業の経営活動における社会的責任として、採用において「能力と適性のみにもとづく公正採用選考システムの確立」や「人権の視点からの社内慣行・システムの見直し」、「個人情報・プライバシーの保護」、「性差にとらわれない雇用管理」などが進められようとしています。それは、公平・公正さの確保により個人が尊重され、能力と適性が十分に発揮され、自己実現につながる企業風土づくりにむけた取組みであるといえます。
そして、企業は社会的責任のひとつとして部落問題をはじめとするさまざまな差別を無くす為に人権教育の取り組みを積極的におこなうようになりました。
(2)人権教育基本方針の策定
人権尊重の社風を構築
― 差別のない元気のでる明るい職場づくり ―
(3)人権教育の目的
ア) | 人権尊重を基本にした社風を構築し、一切の差別を「しない」「させない」「許さない」元気のでる明るい職場づくりに努めること。 |
イ) | 従業員の採用・処遇にあたって、社会的身分、門地、人種、信条叉は性別によって差別をしないこと。 |
(4)人権教育推進委員会組識を設置
企業が部落問題をはじめとするさまざまな差別を無くすためには、人権教育推進委員会組識を設置して取組む必要があります。
場当たり的な対応ではなく、計画的でステップアップが図れるシステム的な取り組みが必要です。