< 企業と社会貢献 >
< はじめに >
ここでは、企業がなぜ「社会貢献」に取り組むようになったのかを考えることから始め、現在企業が行っている「社会貢献活動」にはどのようなものがあるかを具体例を交えて紹介し、最後に、企業の社会貢献活動のこれからのあり方について考えてみたいと思います。
< 社会貢献活動って何? >
まず、ここでいう「社会貢献」とは、経団連(経済団体連合会)の定義によると「社会の課題に気付き、自発的にその解決を目指し、直接の対価を求めることなく、その持てる資源を投入すること」ということです。直接の対価を求めないということは、その活動が、広く社会全体の利益に叶うものでなければならないということであり、持てる資源とは企業が保有している資金、人材、施設、技術力、等のことをいいます。
このような「社会貢献」を表す言葉は、海外にもありますが、日本では若干その意味が異なることがありますので、整理してみましょう。
1.フィランソロピー( philanthropy ) もともと、ギリシア語のフィロス( philos:愛する )とアンソロポス( anthropos:人類 )を語源とし、「他人を愛する、博愛、人類愛」という意味でしたが、現在では、もっと広い意味で「仲間意識をもってコミュニティ・社会を愛し大切にする、豊かな住みよい場所にしていくという心情・意欲を持って社会参加活動を行うこと」と解釈されていて「社会貢献」に最も近い語とされています。アメリカで生まれた言葉で、日本では、1990年頃から使われるようになったことから、1990年は、フィランソロピー元年ともいわれています。
2.メセナ この言葉は、フランスで浸透している「社会貢献」を表す言葉で、フランスでは社会貢献全般を表しているようですが、日本では、フィランソロピーのうち、特に文化・芸術に関する活動を指すものとして、フィランソロピーと同じ頃1990年代から使われるようになりました。
3.チャリティ フィランソロピーやメセナよりも馴染みの深いのがこの「チャリティ」ではないでしょうか。この言葉は、イギリスで浸透したもので、主に、教会を中心に行われる慈善活動、および貧者や弱者救済のための寄付活動を意味しているといわれます。これに対してフィランソロピーは、もう少し「相互扶助」の考えが強いといわれています。
4.ボランティア この言葉も日本では馴染み深いものですが、元々は「志願兵」と言う意味で、お金や物資の提供以外の、いわゆる知的・肉体労働を無償で提供する行為を指すものと解釈されています。
5.スポンサーリング 芸術・スポーツ活動に対して、支援すること自体は社会貢献・フィランソロピーと同じですが、目的が販売促進のための広報・宣伝効果を狙ったものであり、社会貢献とは少し異なるものと思われます。
以上を整理すると、社会貢献活動(フィランソロピー)は、チャリティの思想と相互扶助の考え方をあわせ持ち、メセナといわれる文化・芸術の支援を含む幅広い分野で、社会全体の利益への貢献を目指して行う社会参加であり、その一つの具体的活動がボランティアであるということになります。
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