ワークシート「ある女子大学生の手記」
2000/04/30
私は、差別意識あるいは偏見を持っていると思います。どのようにして持つようになったかは、はっきりとは分かりませんが、小学校に入学する前後から、既に他人を見下したり、他人と比較して優越感に浸ったりしていたように思います。
人権問題を初めて学習したのは、小学4年生の時でした。学校の先生から、差別事件の具体例をはじめ、数多くの部落差別の実態を教わりました。それまで同和地区の存在すら知らなかった私は、人権学習に大変興味を持ち、帰宅してから両親に学校で習ったことをよく話しました。同和問題について、母は知っていましたが、父は知らなかったため、家庭での会話は、学習した内容に関する私の報告が中心だったと記憶しています。 私が中学1年生の時、いとこのお姉さんがお見合いをしました。相手の人は、高学歴で身長も高く、見た目も良いのに30歳を過ぎていました。いとこの母である叔母は、「こんなにいい人が今まで独身でいるなんて」と、一面では喜びながら不審にも思って、興信所に頼んで調べてもらったところ、お見合いの相手の男性は同和地区出身者だったらしいのです。そして、そのお見合いは断ったそうです。 この話を母から聞かされた時、私は「ほっ」としている自分に気づきました。差別をしてはいけないことは頭では分かっていても、もし、いとこがお見合いの相手と結婚して、同和地区の親戚がいるというだけの理由で、自分も差別、特に結婚差別を受けるようになるのはイヤだという気持ちがありました。 現在においては、ほとんどの人が差別がいけないことは分かっていても、いざ自分の問題となった時には絶対に差別する側に立ってしまうのではないかと思います。そして、私自身も結婚問題に関しては、中学1年生の時よりも敏感になっており、自分の結婚相手として同和地区出身者を避けようと考えているし、親戚の結婚しようとしている相手が同和地区出身である場合には、反対しようと考えています。 ただ、自分のこのような考えが正しいとは思っておらず、心の中にある多くの差別意識や偏見をなくしていけるように努力していきたいと考えています。 このワークシートはご自由にダウンロードして教材としてお使いください。
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