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「困ったら、いつでも相談においでや」

著名な書道家でもある康さんの作品。今夏、ハングルの書として日仏現代美術博に初出展、ルーブル美術館に展示された。(リムジンガンハナなど2点)
著名な書道家でもある康さんの作品。今夏、ハングルの書として日仏現代美術博に初出展、ルーブル美術館に展示された。(リムジンガンハナなど2点)

 24歳からは弟の自立に役立てばと、一緒に書道家に師事。意外にも筆を握ると無心になれたという。書の道でも頭角を現した康さんは、2年後には実家で小さな書道教室を開くまでに。90年には在日の書道家を集めた「高麗書芸展」で最優秀賞を受賞。50人ほどの生徒で始めた教室は、さまざまな境遇の悩みをもつ人々も集まるようになり、150人に膨れ上がった。虐待を受けた女性、就職差別を受けた若者、行き場のない精神障害者・・・。
「20年間精神病院に入っていて社会復帰できた人もいる。僕は、同じ立場に立って根気よく話を聴き、時には子守唄を歌い、母にもなるんです」
 断崖絶壁にまで追い込まれた人々にとって、康さんは命綱的存在となった。

 1992年、同胞企業にマンションの一室を提供されたのをきっかけに「あらゆる人が利用できる文化交流の場に」と「コリア文化ホール」をオープン。書道教室を軸に、手話教室や野外ハイキングなどを企画し、民族や障害の壁を超えて多くの人が集まれる場所になった。
「祖国は分断していても、福祉のうえでは南北統一が実現できる。民族の壁も超えられるんです」。1994年には「コリアボランティア協会」と改称し、24時間態勢での無償ボランティア活動が始まった。
「人には相性があって、普通の人は嫌いな人を嫌いと言えるのに、障害者にはその権利もありません。障害者一人ひとりに相性の合うボランティアを送れる地域にしたかったんです」 

立ちはだかる資金不足

康秀峰さん 翌1995年に起きた阪神・淡路大震災で、ボランティア活動はさらに拡大していく。韓国民団と朝鮮総連の協力態勢を仲介しての被災地での合同炊き出しをはじめ、救援物資の供給、訪問介護・・・。お年寄りを励ますために全国の小中学生との文通支援も行い、手紙のやり取りをつづった文集も作成して2万部を配付。ほとんどの支援が薄れつつある今も、協会は訪問介護を続けている。

 協会の登録ボランティアは有名タレントなども含め5,000人を超えるまでになったが、3年前思いもよらない事態に直面した。部屋を提供してくれた会社の倒産で立ち退きを求められ、活動の場を縮小せざるを得なくなったのだ。そのうえ、幼い頃から支えてきた弟が他界。康さん自身も持病のリウマチが悪化して、自宅療養となってしまう。
 震災の支援で私財をすべて使い果たしたため、活動資金も底をつく状況となったが、そんな中でもスタッフは康さんの意思を継ぎ、中断することなく活動を続けてきた。以来、収入源はカンパのみ。ボランティア対象者を限定せず、すべての人に門戸を開いていることで、国からの補助金も出ないという現状だ。
「今の世の中は“心”を1とすると、“経済”が9。これではバランスが悪すぎて歩けません」と語る康さん。「知識を得ることできる人間は、それ知恵として人間らしく歩めるはずなのに、鯛になりたい人が多すぎて、競争社会を作り上げてしまった。横も後ろも向いてこそ輪ができるのに、鯛になろうと前ばかり向くことで、日本の良さを失い、子どもや高齢者の人権も、働く人たちの人権までなくなろうしています」

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