京都府宇治市ウトロ51番地----過去の精算が終わらない在日コリアンの町
2005/11/11
世界文化遺産の平等院があり、年間400万人もの観光客を集める京都府宇治市。その市内に、下水道はおろか上水道さえ未だ十分に敷かれていない集落があ る。在日コリアン約60世帯250人が暮らす「ウトロ51番地」。戦時中に、国策の軍事飛行場建設のために集められた朝鮮人労働者の元「飯場」で、戦後国 から何の補償も受けることができないまま、そこに暮らすことになった人とその家族たちが住み続けてきた約2万1000平方メートルの地だ。
ところが、1998年、土地の「所有権」をもつ不動産会社によって、ウトロ住民を相手取る「建物収去・土地明渡」請求訴訟が起こされた。住民たちは団結 して最高裁に上告したものの、2000年敗訴。以後、強制立退の恐怖にさらされる中、「今さら出て行けと言われても、出て行くあてがない」状態での暮らし が続いてきたが、昨年9月に住民らが韓国で開かれた国際居住問題研究会議に出席して窮状を訴えたのを機に、韓国内や国際機関からの関心が高まってきた。し かし、日本国内では地元紙などに報道されるものの、行政から置き去りにされたままだ。一連の経緯とウトロの現状を取材した。