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人権に関する映像紹介

2018/05/08


(5)風の匂い

5風の匂い.jpg

 

1.テーマ      障がい者問題

2.教 材

(1)タイトル   風の匂い (34分)

(2)制  作
企   画  兵庫県・(公財)兵庫県人権啓発協会
企画協力   兵庫県教育委員会
制   作  東映株式会社
制作年    2016年
定 価    86,400円(税抜価格80,000円)
問合わせ先  東映株式会社 関西営業推進室

(3)内  容
この作品は、スーパーマーケットで働く青年、森野歩(あゆみ)と渡辺正人(まさと)が主人公です。歩には知的障がいがあります。子どもの頃は共に遊び、共に学ぶ「大切な友だち」でした。しかし、大人になって二人を隔てる健常者と障がい者という壁。その壁を作っているのは誰なのか。二人の成長と職場での人間模様を通して、社会的な課題である「合理的配慮」についても触れ、見る方がたが自分自身の問題として考えるきっかけとなる教材です。

・正人が働くスーパーに、知的障がい者である歩が配属される。店長の飯塚は即戦力が欲しかったと嘆くが、正人はすぐに小学校の頃の親友・歩だと気づく。しかし、余計な仕事を増やされたくないという思いから言い出せない。

・ある日、車椅子の客・茅乃(かやの)が高い棚のワインを取ろうとするが、その対応を正人が後回しにしたことで、ワインが割れてトラブルに。言い訳する正人に飯塚は「障がいのあるお客様への合理的配慮について」と書かれた資料を渡すが、正人はどこか他人事。

・道の窪みに車椅子の車輪がはまった茅乃を歩が助けたことをきっかけに、二人は仲良くなる。茅乃に仕事ぶりを褒められた歩は、誠心誠意働き、次第にスーパーの同僚にも認められていく。歩以外の店員は販促イベントである北海道フェアを控え盛り上がっていた。

・しかし翌朝、歩は北海道フェアによって変更された店内のレイアウトに混乱し、皆が必死に準備した特設コーナーを撤去してしまう。気づいた正人ら店員に責められた歩は、前の職場で虐待された時の記憶が呼び起され、その日を境に出勤しなくなってしまう。

・歩を解雇しようとする飯塚に驚いた正人は、歩の家に足を運ぶが歩は心を閉ざしていた。悩む正人は歩の机に、20年前のラジオ体操の出席カードを見つける。あの頃の自分にあって今の自分が失くしてしまったもの。歩のために正人は動き出す。

・飯塚に直談判する正人だが、飯塚は障がい者である歩と自分たちの間には壁があると、聞く耳を持たない。正人は壁を作っているのは自分達の方ではないかと訴え、障がい者就業・生活支援センターのジョブコーチ・竹村に来てもらうことを提案する。

・竹村の指導の下、仕事の伝え方や店内の様子を歩と一緒に確認していく店員たち。大切なことは、どうすればうまくいくか、一緒に考えて、一緒にやってみること。店員だけでなく店全体が良い方向に向かう姿を前に、飯塚にもやがて変化が。そして正人も歩に隠していたことを伝えようと決心する。

3.ねらい

2016(平成28)年4月に、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。この法律では「不当な差別的取扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めています。障がいのある人は社会の中にあるバリアによって行動の制限や不当な扱いを受けるなど、生活しづらい状況におかれることがあります。このバリアは物理的な問題だけでなく、障がいのある人への差別意識や知識不足から生まれています。私たち一人ひとりが意識を変えて「バリア=壁」をなくしていかなければなりません。

4.話し合いのポイント

① 現在の社会生活において、障がいのある人が受ける制限について話し合いましょう。

② 障がいの有無によって分け隔てられることなく共生できる社会をめざすために、私たちが日常生活の中で心がけること、また、必要な配慮をしていくために大切なことを考えましょう。

以 上

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【参考資料】

■「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定され、平成28年4月1日から施行されました。(内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」)

※「障害者差別解消法<平成25年法律第65号>の概要」(PDF形式)