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人権に関する映像紹介

2018/05/08


(1)光射す空へ(北九州市人権啓発アニメーション)

1光射す空へ.jpg

1.テーマ      人権全般

2.教 材

(1)タイトル   光射す空へ (32分)

(2)制  作   
企 画    北九州市/北九州市教育委員会/北九州市人権問題啓発推進協議会z
制 作    東映株式会社 教育映像部
制作年    2016年
定 価    75,600円(税抜価格 70,000円)
問合わせ先  東映株式会社 関西営業推進室

(3)内  容
大学生の有吉朝陽には、悩みがあります。父の和正が若年性認知症と診断され、会社を休職中。母の典子は明るく振る舞っていたが、朝陽は記憶や理解力を失っていく父に苛立ちを隠せません。何でも話せる幼なじみの颯太だけが心の支えでした。

朝陽は大学の同級生・優海と共同で「自分がよく知らない人権課題」について調べ、レポートを書くことになりました。2人が選んだ課題は、「同和問題」でした。何の知識もない朝陽はインターネットで、同和問題の歴史や現状について調べますが、情報の中には同和地区の人びとに対する誹謗や中傷もあり何が真実なのかわかりません。朝陽と優海は井上教授に相談し、田中時恵という女性を紹介してもらいます。時恵は自分が受けた結婚差別について語ります。朝陽は噂や偏見に惑わされずに自分自身で正しく知ること、人と向き合うことの大切さを学びます。

ある日、夜中に和正が家から姿を消しました。颯太とともに公園にいる和正を見つけた朝陽は、そこで認知症になっても失われない父の誇りと愛情を知るのでした。和正は職場の理解を得て仕事に復帰。朝陽と典子は家族として和正に寄り添い、胸を張って生きていく決意をします。

一方、颯太は突然、優海に自分がLGBTのT(トランスジェンダー)であることを告白します。これまで打ち明けたのは朝陽だけで自分の家族にすら言えないことでした。優海に告白したのは、「普通」とは少し違う自分のことを他の人に理解してもらうための第一歩でした。優海は戸惑いつつも、颯太という人間をあるがままに受け入れます。そんな優海を見て、朝陽も父のことを打ち明けます。

3.ねらい

同和対策審議会答申が出されて50年余。その間、国や地方自治体等でさまざまな取り組みが行われ、同和地区の生活環境は大きく改善されました。しかし、同和地区・被差別部落と呼ばれる地区の出身者や住民に対する差別は形を変えて根強く残っています。また、未だ十分に認識されていない人権課題として、性同一性障害や性的指向における少数派の人びと、若年性認知症と診断された人びとに対する誤解や偏見もあります。

この作品では、大学生たちの悩みと学びを通じ、「正しい知識と理解」「多様性の受容と尊重」の大切さを描いています。誰もが人権を尊重され自分らしく生きていける社会について考えます。

4.話し合いのポイント

①若年性認知症を理解し、若年性認知症と診断された人と家族が抱える問題について話し合いましょう。

②同和問題が表面化しやすい、結婚差別について話し合いましょう。

③LGBTとは? LGBTの人たちの生きづらさや、多様性を尊重する社会について話し合いましょう。

以上

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【参考資料】

■若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症の総称です。厚生労働省が2009(平成21)年に実態調査を実施した結果、若年性認知症の対象年齢とされる18~64歳までの人口10万人当たり若年性認知症者数は約47.6人であり、発症年齢の平均はほぼ51歳であると発表されました。高齢で発症する認知症と同様に初期症状として、記憶障がいや判断力の低下などが見られます。仕事や家事の能率が悪くなり、支障をきたすようになっても、「年齢が若い」ことから認知症を疑わず、うつ病や更年期障がいと間違われることがあります。

より早い段階での診断や治療は、進行を緩和するためにも、本人が病態を理解して今後の人生設計をする上でも、大きな意義があります。身近の家族や職場の上司・同僚などが変調に気づくことも大切です。(厚生労働省「若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について」平成21年3月19日)

■同和問題の現状と課題

内閣府が2012(平成24)年8月に実施した人権擁護に関する世論調査では、「同和問題に関し、どのような人権問題が起きていると思いますか?」という問いかけに、37%を超える人が「結婚問題で周囲の反対を受けること」、23%を超える人が「就職・職場で不利な扱いを受けること」と答えています。(内閣府「人権擁護に関する世論調査」平成24年8月調査)

■LGBTとは

私たちは日常的に、男性・女性という2つの枠組みでいろいろなことを考えがちです。しかし、実際の性・セクシュアリティはもっと豊かで多様なのです。

性は、「からだの性」「こころの性」「好きの性」の3つの側面から考えられます。「からだの性」は、生まれついた身体の性です。「こころの性」は、自分をどのような性として認識しているかです。「好きの性」は、どのような性を好きになるかです。LGBTとは、「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」の頭文字をとった総称です。

日常生活では、「男なんだから男らしく」「結婚は男と女でするものだ」など、LGBTの人たちに苦痛を強いるような言葉が「普通」のこととして交わされています。このように、LGBTについて十分に理解がされていない現状があるため、LGBTの人たちは、「誰にも言えない」「親を悲しませるのではないか」と悩み苦しむことが多く、自己肯定感が低くなる傾向があります。(法務省「性の多様性について考える」)