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高校生が考える、わたしたちの人権 ヒューマンライツフォーラム2005   ヒューマンライツフォーラムの様子

車いすバスケなど分科会の様子

 

 

ジェンダー

女らしさ、男らしさというような社会的・文化的につくられる性別・性差。

社会や家庭内において、「男は男らしく」「女は女らしく」と要求される結果、男女それぞれのジェンダー意識が形成されていき、「女は家庭」「男は仕事」という固定的性別役割分業の意識や社会システムがつくられている。

ジェンダーは生物学的な性差(セックス)のように普遍的なものではなく、その時代の社会や文化によって左右される。

アメラジアン(AmerAsian)

米国人(American)とアジア人(Asian)の両親を持つ子どもたちのこと。

偏見にもとづく差別や攻撃、法制度の不備によりさまざまな権利の侵害が発生している。

アメラジアンといわれる子どもたちにハーフではなく「ダブル」としての誇りと「地球市民」としてひらかれた教育の保障が求められている。

 


 



高校生の視点で、人権問題を追いかけています

人権関係の部活や同好会、サークルに所属している他校の高校生とひとつのイベントをつくりあげていく。ヒューマンライツフォーラムにはいつもの学校とは少しちがった出会いと経験があります。

1986年に大阪高校部落解放研究集会としてスタートして以来、企画・運営はすべて生徒実行委員会が行っています。今回もフォーラムまでに生徒実行委員会が行われること6回。夏休み明けには宿泊研修も行い、分科会の内容やスローガン、記念品、募金についての詳細を決定しました。

そして今年の分科会では「教育のこと、やりたい。いまの学校ってホントに学べてるのかな」「世界の社会問題を自分の立場におきかえて何ができるか考えたい」と生徒実行委員から声があがり、ふたつの新しいテーマに取り組むことになりました。こうして立ち上がった分科会は7つ。学校、学年に関係なく共通テーマのもとに分科会を組み立ててきました。

生徒たちが気づき、行動して自分で解決の方法をみつけていく

「ジェンダー関係の図書は女性側の意見が中心になっているので、実際に男性の意見を聞くことができたのはとてもよかったです。私たちが思っているほど男らしさにこだわっていないということに驚きました」。ジェンダーの分科会のリーダー(明浄学院高校)は笑顔で語ってくれました。学校のクラブでもジェンダーについて勉強しているけれど、女子校なので男子生徒の意見を聞く機会がありません。しかし今回のフォーラムでは、男子校である清風高校の生徒2名が分科会に参加しました。同じテーブルでジェンダーについて議論することができたのは大きな収穫だったようです。

また、国際問題の分科会は劣化ウランや、自衛隊の派遣問題について討議し、そしてパネリストにアメラジアン、在日朝鮮人という立場から2人のゲストスピーカーを迎え、聞き取りを行いました。「国際問題って、イエス・ノーで判断できるものではないんですね。例えば劣化ウランの問題は国によって、地域によって、ニュースによって言っていることみんなバラバラ。僕たちはメディアの情報を鵜呑みにするのではなくて、自分の中で国との事情を解釈して、ニュースの一歩先を知っていかなければいけないと思いました」。ふだんの生活ではまったく接点のないテーマにも挑戦し、関心をもって調べたり、実際に聞き取りをしていくことで、高校生に「生きた知識」が身についているのがわかります。ある先生に今年の生徒はどうですか、と質問してみると「去年の生徒と比べてとか、どの分科会がいい、という評価の問題ではありません。今年の生徒はこれでいいんです。みんなよくやっています」という言葉が返ってきました。たしかにヒューマンライツフォーラムでは誰も「去年のフォーラムに負けるな」などと言いません。
「ヒューマンライツはちがうけれど、学校ではときどき“やらされてる”って感じることがあるんだ」。考えることで気づき、自分の力で解決の方法を探っていく。ヒューマンライツフォーラムを支える先生方は生徒のこうした「気づき」を大切にしています。教育問題を考えているうちに、そんな気づきを先生に話す生徒もいました。

フォーラムの経験を暮らしの中で生かそう

さて、準備を重ねてきたもののフォーラム当日は小さなトラブルがいくつか発生。少し焦りながらも生徒と先生の協力があり、無事成功に終わりました。先生とともにフォーラムを支えた副生徒実行委員長は「今年は副実行委員長として動く回数が多かったので自分の問題に関することにあまり手をつけられませんでした。でも人の役に立つというのはすごくいいことだと実感しました。来年は僕はいないですが、太鼓部の皆さんに来てもらうことは努力したいと思います」とコメント。みんなのために頑張った人も何かを得たようでした。そして5ヶ月間、フォーラムの事務局として生徒をバックアップしてきた先生は「これはひとつのイベントであって、帰ってから日常にどう生かしていくのが大事なことだと、ひとりの生徒が言っていましたが本当にそのとおりだと思います。こういう言葉が高校生から出てきたことがとてもうれしいですね。参加している学校の顔ぶれをみると去年よりも少し拡がりが出ていると思うので、また来年、もっと拡がってほしいなと思います」。

学校の枠をこえて高校生が自分たちでつくりあげていく等身大のフォーラム。来年もたくさんの高校生が参加するといいですね。


ヒューマンライツフォーラム2005
・参加校 府立貝塚高校・府立久米田高校・府立松原高校・府立佐野工業高校・府立長吉高校・府立北淀高校・府立住吉高校・府立伯太高校・府立八尾北高校・上宮高校・大阪高校・柏原高校・清風高校・明浄学院高校・大阪学芸高校・宣真高校・金光藤陰高校・関西福祉科学大学高校
・協 力 豊中市立克明小学校太鼓部(オープニングセレモニー)・車椅子バスケットボールチーム「大阪イーグルス」(車椅子バスケット模範演技)・大阪府立久米田高校太鼓部「蓮」(エンディングセレモニー)
・第1分科会
 部落問題
1.部落の歴史
2.南王子村の歴史と産業
3.識字
・第2分科会
 障害者問題
1.車椅子バスケットを体験
2.空書などを通じて手話に親しむ
・第3分科会
 児童虐待
1.児童虐待に対する基礎知識と討論
・第4分科会
 ジェンダー
1.差別について
2.ジェンダー意識はいつごろつくものか
3.男の子と女の子のしつけのちがい
・第5分科会
 環境問題
1.砂漠化によって起こる紛争
2.カエルやヤゴ、渡り鳥などの減少問題
3.アスベストやダイオキシン、水俣病の問題
・第6分科会
 教育問題
1.教育基本法、現状についての意見交換
2.教育とは(視点を変えて)の話を聞いて意見交換
・第7分科会
 国際問題
1.世界における日本のあり方
2.足元の国際問題
3.その中で生きる私たち