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「言葉の魔法」魚住絹代

言葉の魔法って知ってる?言葉には不思議な力があるんだ。
「どうせ、わかってくれない」
「結局、私ひとり・・・」
そんな風に思ったことないかな。思い切って気持ちを打ち明けてもわかってくれなかった時、気がつくと、自分ひとりになってさびしくなった時、ショックなこと言われた時・・・。

 

そんな思いを言葉にすると、ほんとうにだれもわかってくれなくて、ひとりぼっちになったように思える。かなしくて、つらくって、たまらなく孤独になってくる。そうすると、自分のなかでかなしさや怒りや、くやしさの言葉がぐるぐる回りだす。すると、それは確信になっていく。
「ほら、どうせだれもわかってくれないんだ」
「ほら、やっぱり私ひとりなんだ」
確信の言葉が回ると、心はしばられて鎧のようにかたくなっていく。
どんどんエネルギーが落ちてしんどくなってくる。みんなと自分との間に距離ができたように思えて、時には、動けなくなることもある。そんな自分を責めてしまう。相手を責めてしまう。

 

そんな経験ないかな?それはね、だれのせいでもないんだ。
「え?だってほんとにわかってくれないし、私ひとりなのに!」
そぅ。あなたが感じたこと、それは確かなあなたの気持ちです。でもね、大事なことは、感じた気持ちがすべてではないってこと。それはひとつの「思い」なんだってこと。

 

言葉の魔法は、誰もが心にもっていて、使い方によって効力が違うんだ。マイナスの思いにとらわれると、大事なもうひとつの思いを見えなくしてしまう。
「どうせわかってくれない」というくやしい気持ちの裏には、「ほんとはうまくつながりたい」っていう求める気持ちがあるんだ。

 

自分の中でぐるぐる回っている思いには、かならず願いがあるんだ。思いの底に眠っている願いに気づけたら、それは自分を支える力になってくれる。
「どうしたらわかってもらえるかな」
「どうしたらつながれるんだろう」
そんな風に自分を導いてくれる。それも言葉の魔法なんだ。どちらを使うか、それは使いこなすご主人様である君が鍵を持っているんだ。言葉って不思議だね。

 

これから「BeFLAT」で3ヶ月に一回、みなさんにつながれることをうれしく思います。思いを大事に言葉を大事に、君の10代にいっしょに並んで歩いていきます。よろしくね。

 




プロフィール・女子少年院の法務教官を経て、00年より京都医療少年院で講師として音楽指導(療法)を行っている。02年からは大阪府の公立小・中学校にスクール・サポーターや家庭教育サポーターとして勤務。いじめ、不登校、性などの問題にかかわり、子どもや親、教師への相談、支援を行っている。